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俺があいつを見返す日。

ある一言をきっかけに、ある人物を見返すきっかけとして立ち上げました。日々のことから夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも掲載します。

肉まん先輩。

エッセイ

「肉まん先輩」という人がいました。
いたというか、私が勝手にそう呼んでいただけなのですが、ほぼ毎朝利用するコンビニでたまに会う初老の男性のことです。

その男性、いつも決まって肉まんを一つだけ買って帰るんですが、その注文の仕方に少し違和感があって。
店内に入ったら一直線にレジに向かい、店員さんに「肉まんでいいや」と言うんですよ。
「でいいや」ってナニよジジイ。いいも悪いもジジイの胸三寸でしょうが。
家族を人質に取られ、泣く泣く肉まんを買わざるを得ないのか? そうじゃないだろ?
ジジイ自身が肉まんを欲し、ジジイの意思で買うんだから「肉まんがいいや」でしょう。
おっと。「いつもはあんまんを買うのに、売り切れで仕方なく肉まんを買っているから」なんて言わせねえぜ。
ジジイがエブリデイ肉まんなのはもう割れてるんだからな!

初めで遭遇した時はそりゃあイラっとしました。
でも遭遇するたびにその光景を見せられるものだから、最近では慈愛に満ちたまなざしで見守ることができるまでになっていたんです。
だから今は親しみの意を込めてこのジジイを「肉まん先輩」と呼んでいます。

そんな肉まん先輩に変化があったのはつい先日のことです。
いつものようにレジに向かった先輩は、店員さんにこう言いました。

「肉まん少しでいいや」

先輩! いったい何があったんすか!!

越えてはいけないラインを軽々と越えて見せた肉まん先輩。
これからも彼からは目が離せない。が、あれ以来先輩の姿は見ていない。