俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

ハチの巣の駆除を業者に依頼したらいくらかかるのか、わたしは知った。

 


(前回の続き)


 先週の土曜日にスリーコインズで入手したリュック型水鉄砲。外で思う存分に遊ぼうとしていたわたし達に、とんでもない試練が立ちはだかった。


 などと思わせぶりな書き方をしてみても、すでにタイトルでお分かりのはずだろう。そう、ハチだ。ハチの巣だ。


 先週末の日曜日。奥さんの実家に泊まらせてもらっていたわたしたちは、ブランチをするために、車で5分ほどのところにある夢庵に行くことになった。


 そのためにわたしが車を出そうと外に出た時、それを見つけた。給湯器の室外機の下。大人の握りこぶしくらいのアシナガバチの巣に、働きバチが10匹ほどせわしなく動き回っていた。

 


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 車の中からスマホで拡大して撮った写真なので鮮明には写っていないが、ヤツらの巣がそこにあるということはお分かりいただけるだろう。


 勘弁してくれよ。これから夢庵でブランチを楽しもうとしてた矢先だぞ。それだけが楽しみで楽しみで朝から何も食べていないのに。


 とはいえ、ハチの巣を発見してしまったものは仕方がない。誰かが刺される前に駆除しなくては。


 断っておくが、わたしは駆除できない。幼い頃、まさにこのアシナガバチにヒザの裏を刺されたことがあるから。もうムッチャクチャに痛かったから。CHA-LA HEAD-CHA-LAとか言ってらんないかLA。刺された痛みだけならスズメバチのそれを凌駕するという説もあるほどだからアシナガ。それにもう一度刺されたらアナフィラキシーショック重篤な事態に陥ってしまう恐れもあるから。アシナガバチくらいなら自分で駆除してしまう人も多いと思うが、わたしにはヤツラと対峙して退治するなんて怖くてリームー。


 とはいえ義父母に駆除をしてもらうのも酷だし危険だ。やはりここは駆除業者さんに依頼しよう。わたしが費用を払うわけではないし。

 

 わたしは車に乗ったままスマホを操作し『ハチ 駆除』と検索して上位にヒットした業者さんに即決した。


 ここは複数の家が隣接する私道だ。事は一刻を争う。悠長に相見積もりなどはとっていられない。それに何度もいうが、わたしが費用を払うわけではない。あぁ。人の金だと思うと何をするのも楽だ。


 幸い業者さんのウェブサイトを見ると、『最短15分で駆けつけます』と書かれていたので期待は持てた。

 わたしは車の中から奥さんに電話し、駆除業者さんに電話するようにお願いした。


 それと、危険だから誰も外に出てこないように伝えた。そうしないと義父あたりは興味本位と強がりで外に出てきかねない。ハチを舐めない方がいい。


 わたしはというと、滅多には身近で見られないハチの巣を車の中から観察しながら、この私道を通ろうとする人がいないか見張ることにした。


 すると、家の角から顔を覗かせる者がいた。義父だ。


 あの・・・。わたし出てこないでって言いませんでしたっけ? ナニ顔のぞかせてんすかひょっこりはんかよ。危ないから興味本位で出てこないでくださいよ。


 それともナニよお義父さんはアレ? 巣に近づかれて攻撃性を増したアシナガ達に急襲されても華麗に捌いてかわせるくらいの敏捷さを兼ね備えているスピードタイプのキャラ?


 そりゃね。幸か不幸か…まぁ本人にしてみたら不幸なんだろうけれども、あなたの頭髪は毛根ごと枯れ果ててしまって、さながらタクラマカン砂漠の様相を呈しているからね。黒いモノに反応するというハチの習性からは対象外でしょうよ。


 いやだから近づくな近づくな。来るんじゃないよ。頭頂部は刺されなくても、わずかに残ったモミアゲをもっていかれるぞ。いいんですかエグられますぜモミアゲ? いいんだね? やるよ? やるっていったらホントにやるからね!? いややるのはわたしじゃなくて芦永さんだけど。芦永さんチーッス。もうやっちゃってくださいよ。


 ひとしきり眺めて満足した義父が家の中に戻ったところで、奥さんから電話が来た。3時間以内に付近の委託業者から連絡が来るという。

 3時間・・・。連絡が来るまでリビングでタイタニックグリーンマイルでも観て過ごせというのか? タイタニックはともかく、グリーンマイルマイケル・クラーク・ダンカンがクチから金色のコバエみてぇのを超出すやつではなかったか? アレはいいや二度は観たくねぇ。

 

 

 


 ウェブサイトに書かれていた最短15分とはいったい何だったのか。もちろん『最短で』だろうが、15分と3時間ではあまりに宣伝文句と現実との乖離が激しすぎはしまいか。


 イサムが来るはずの待ち合わせ場所にオサムが来たくらいなら大した違いはないが、松平健が来るべきところにけつだいらまんが来たら許しがたい乖離だ。ちなみにイサムとオサムではそもそも別人なので大した違いであることを訂正しておく。

 

 現実的な話、連絡が来るまで3時間も待ってはいられない。とりあえず義父母には、ハチの巣があることをご近所さんに口頭で伝え、ご不在のお宅には貼り紙で注意を促すようにお願いした。そして夢庵に向かった。


 すでにお店は混む時間帯に突入していたが、何とかほとんど待たずに座れた。

 さて何を食べようかとメニューを広げたところで奥さんの電話が鳴った。業者さんからだ。15分ほどで来てくれるらしい。まだ30分も経っていないぞ。確かに3時間以内ではあるけど以内すぎるぞ。


 仕方ない。すぐに来てくれるのであれば、それはありがたいことだ。話の成り行き上、義父とわたしが一旦戻って業者さんの応対をすることになった。

 奥さんが電話口でおおよその駆除金額を確認すると、基本料金は9,000円弱、色々な条件によっては3万円くらいにはなってしまうかも、とのことだった。

 

 義父を乗せたわたしの車が実家に到着したところで、タイミングを見計らったように業者さんが家の角から顔を出した。何だか今日はやけひょっこりはんに出会う。


 今後、この駆除業者さんを便宜上『M』さんの表記で統一する。


 まずMさんに巣の場所を見てもらった。Mさんは開口一番「あ~でかいですねぇ」と言った。

 え? おっきいのコレ? いや、わたしはハチの巣の大きさを正確に判定するモノサシなど持ってはいないが、そんなに大きくないと思っていた。


 Mさんいわく、サイズにより駆除料金が異なるらしい。一覧表のようなものを見せてもらうと、5cm間隔くらいで対象の巣の大きさが分かれており、大きくなるに従って値段が上がっていく。


 ひと通り確認してもらい、最終的にMさんがはじき出した駆除金額は、何と4万2千円。

 「4万!?」とはわたしの第一声。隣から聞こえてきた「ンフグエア~ハ」という奇声が、たぶん義父の第一声。

 安くはないだろうなとは思っていたが、まさかここまでとは。それならもうケルヒャーの高圧洗浄機を買って、ハチの巣もろともふっ飛ばしたほうが早いんじゃないのか?

 

 

 

 わたしは値切り交渉は苦手だが、恐らくは基準などあってないような駆除費用だ。ここから何とか値を下げてもらう交渉をするしかない。


 そんなふうに考えていると、


「奥さんから2万円しかもらってきてないんだよ!!」


 そこには、谷村新司のモノマネでもしているのかと思うくらいに眉を吊り上げた義父の姿があった。



 突然どうした!? いきなり何をキレているんだ? 4万円と聞いて恐れおののき感情の理性が吹っ飛んだのか? 今後のために覚えておこう。義父の理性は4万円で奪える。


 だいたいさっき電話口で最大3万円ほどになると確認したばかりではないか。それなのに2万円しか所持せずに応対に臨む大人がいるか? ガキの使いでもあるまいし。


 Mさんは続けた。


「基本! 基本ですからこの料金。ここから頑張って勉強させていただいて、まぁ3万と消費税くらいでやらせていただければ・・・」


 どう頑張ったのかは知らないが、いきなり1万円も安くなったぞ。


義父「2万円しかないんだよ」


 うん。そうですね。さっき聞きましたソレ。

 いい年した大人の男が3人集まっての10秒間の沈黙はキツかった。


 だいたい、この金額設定はおかしいと感じざるを得ない。ウェブサイトでも9千円弱〜みたいに書いてあるし、先程電話で確認した時も、基本は9千円弱で、最大で3万円くらいになってしまうこともあると言っていた。

 しかし実際は基本料金9千円弱に加え、ハチの種類、巣の大きさ、巣の処理代、脚立使用の有無、戻りバチ用のスプレー代など、あらゆるものが合算されて料金がはじき出される。この算出方法では初めから基本料金の9千円弱で済むはずがないのだ。

 意図的に低料金と誤認させるつもりがあるとしか思えない。


 試しに「自分で駆除してみようかな」と言ってみると、Mさんは首を横にブンブン振って「危ないです。防護服とか着てやんないと。結構大変ですよ!」と。そりゃそう言うわな。


 細かい設定はあまり覚えていないが、基本料金、ハチの種類はどうしようもないとして、その他のオプションは最低限にしつつ勉強して欲しいとお願いした。


 そして最終的に出てきた金額は2万7千円ほど。渋々ながら義父がOKを出した。2万円しか持っていないクセに。

 2万でもケルヒャーの高圧洗浄機、買えるけどね。


 さて。駆除には30分ほど掛かるというので、家に入って待っていようということになったが、義父が家の鍵を所持していなかった。モミアゲエグるぞこの野郎。

 まぁこの人は携帯電話を携帯せずに公衆電話で連絡してくるような人だ。仕方がない。

 一旦夢庵に戻り、鍵を受け取って引き返した。掛かった時間は10分。

 戻ってみると、Mさんはまだ防護服を来ていない。なんだ思ったより仕事が遅いなこの人。2万7千円も取るくせに。


私「あれ? これから防護服ですか?」

M「もう終わっちゃいました」


 え? 10分くらいしか経っていないぞ。


私「え? 防護服着ました?」

M「着ないでやっちゃいました」

私「仕事早くないですか?」

M「アシナガバチでアレくらいの巣ですからね。殺虫スプレーで一発ですよ」


 いや、アンタさっきなんて言ったよ。危ないだの防護服着ないとダメだの結構大変だの言ってなかったか?

 それと鼻の横がちょっと赤くなってる気がするけど、それはじめからか? なんだったらオメェ、刺されてねえか?


 これが駆除してもらった巣。

 


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 ちなみに業者さんが使っていた殺虫スプレーは『ハチダウン』という。調べたらアマゾンでも買えるようだ。

 

 

業務用ハチ駆除殺虫剤 ハチダウン 1本(730ml) 強力噴射式

業務用ハチ駆除殺虫剤 ハチダウン 1本(730ml) 強力噴射式

 

 
 巣がなくなっても、出掛けていたハチが戻ってくるので一週間程は注意が必要とのこと。戻りバチというらしい。

 その場合は何用の殺虫スプレーでもいいから撒いておけば予防にはなるらしい。


 そんな話をしている間にも2、3匹の戻りバチが来て、さっきまであったはずの巣が忽然と姿を消していることに混乱しているようだった。

 たちまちMさんにスプレーで瞬殺されている姿を見て、善人ぶるわけではないが少しだけ申し訳ない気持ちになった。

 

 ここまでイロイロあったが、まぁ、無事にすばやく巣を駆除できたんだから良しとすべきか。わたしが費用を払ったわけじゃなし。

 

 最後に義父が言った。


「あのハチの巣は、ハチが作るのかい?」


 その知識でよくハチの巣に近づけたな。いや、その知識だからというべきか。


 ハチ……いや無知は強い。