俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

テレビカメラを向けられた時の話をするよ。

 わたしが小学生の時、子役として大ブレイク中だった間下このみさんを目撃した。ガードレールに腰掛け、中学生くらいの女子二人に「けっこうシゴト大変よ?」みたいなコトをのたまっていた。幼女なのにすごいと思った。


 同じ時期の同じ場所で石立鉄男さんを目撃した。アフロでわかめでチー坊の人だ。さすが芸能人というべきか、ものすごく近寄りがたい空気をまとっていた。CMで「ワーカメすきすきぃー」とか叫んでいたクセに。クセにとか言ってゴメンネ鉄男。


 青山劇場にアニーを観に行った時、出入り口付近でサッチーこと野村沙知代さんを目撃した。「なかなか良かったじゃなぁい」とおっしゃっていた。何が良かったのかは分からないが、テレビのまんまの喋り方だったので、あれはキャラじゃなかったんだと思った。


 品川のカフェで、端の席に座っていた阿佐ヶ谷姉妹のお二人を目撃した。レイアウトの一部かというくらい自然な感じでお店に溶け込んでいらっしゃった。気づいたのはわたしではなく義妹だったが、よくあの擬態を看破できたものだと感心した。


 大井のショッピングモールでペナルティのワッキーさんを目撃した。奥さんとお子さんをお連れだった。テレビで観るより大きくてビックリした。わたしが回転寿司を食べ終わった頃、ワッキーさんはウドンを啜っていた。ワッキーさんに勝ったと思った。

 

 ビミョー。バカにするつもりは全く無いけど、正直すごいビミョー。ラインナップが香ばしすぎるぞ場末のスナックかよ。チョコレートじゃなくて準チョコレートみたいな? アイスクリームじゃなくてラクトアイスみたいな? 猪八戒じゃなくて沙悟浄みたいな? オイ同じだよソレ同じ。ドッコイドッコイで大差ない。バッカ大きな違いだぞ。ブタはおいしいしけどカッパは強えからな。尻子玉狙ってくっからアイツら。あと良い薬持ってるし。よって沙悟浄の圧勝。


 この人達の中で、唯一ワッキーさんからはオーラ的なものを感じた。ワッキーさんのファンでもないのにオーラを感じたということは、わたしにとって沙悟浄クラスの大物に遭遇したら、それはそれはものすごいことになるのだろうか。

 よく考えたら沙悟浄も一徳ではなくシローなのでビミョーだった。ちなみにわたしはとん平より敏行派であることをハッキリさせておく。猪八戒の話だ。

 

 話は変わるが、わたしは一度だけテレビカメラを向けられたことがある。

 10年近く前、とある高速道路のSAでテレビの取材を行っていた。一人の女性がインタビュアーの男性から小走りで逃げていくのを見て、わたしの闘志に火が付いた。だから気持ちインタビュアーさんに寄せていく感じで歩いた。

 わたしは人並み以上に内気で緊張しいだが、そういう場面で逃げることを良しとしない厄介な負けん気も持っている。ここでインタビュアーさんから逃げてしまったら「あー何であの時逃げちゃったかなぁ。別に取って食われるわけじゃあるまいし情けねー」と自己嫌悪に陥ってしまうことは目に見えていた。わたしは自分を嫌いになるのが一番怖い。


 案の定、インタビュアーさんは「すいませんちょっとインタビューいいですか?」と声をかけてきた。「いいっすよほー」 きっとわたしの声はうわずっていたことだろう。今も続いている有名な夜のニュース番組で、ゴールデンウィーク特集のインタビューだった。


イ「今日はこれからどちらに?」


私「ちょっと○○まで行く途中です」


イ「そうですかー。遠方から来られたんですか?」


私「いや、○○です(比較的近い)」


イ「あーそうですか……。GWですから、渋滞とかすごかったんじゃないですか?」


私「いやそれが運のいいことに全然スイッスイでしたよ。渋滞なかったです!」


イ「あぁー……。あの、世間では不景気と言われていますけど、こういったお出かけも何かと大変なんじゃないですか? その、節約とか……?」


私「いえ。ウチは裕福じゃないけど、遠出や旅行の時はお金はあまり気にしないことにしてますから。だってつまんないじゃないですか。遠出や旅行は非日常を得るために行くのに、お金だけ現実的になってもねぇ」


イ「あー……」


 どれだけ鈍いわたしでも、分かってしまったよ。要するにこの人達は、『不景気な経済事情の中、GWだからと家族サービスで遠方から訪れたはいいが、GW渋滞にハマり、節約でケチケチ旅行をする庶民』という絵ヅラを望んでいるんだと。

 

 それに気づいてからのインタビューの空々しいこと。あちらの真意に気付いたとはいえ、わたしもウソをつくわけにはいかない。質問に対するわたしの答えがことごとく逆をいくものだから、インタビュアーさんのみならずカメラマンさんも音声さんも苦笑い。


私「何かすいません。違いますよね。こういう答えを求めてるんじゃないですよね?」


イ「いえいえ。ハハハ。あの、どうもありがとうございました」


 インタビューはこうして幕を閉じた。インタビュアーさんに放映日を確認して、わたし達はSAを後にした。

 

 さて番組の放送日。テレビ画面に映っていたのは40代後半くらいの太ましいおばさんだった。


「ソーデスネーモージュウタイガスゴクッテヘトヘト。セツヤク? ソーデスネーフケイキデモータイヘン!!」

 

 その後も何人かのインタビューの様子が流れたが、数分間の映像の中にわたしが登場することはなかった。


 ヤラセではないだろう。あの人達の質問に対して、あの人達が望む回答をした人達のみの映像を使っただけだ。本来そこにわたしもいたのだが。けっこうガッツリめにインタビューに答えていたのだが。いないことにさせられた。ただそれだけのことだ。


 その当時の日本国の庶民は全員、渋滞でヘトヘトで節約でヒーコラだった。らしいよ。


 ビミョー。