俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

ポテチを手で食べることと鳥類の足が2本なのは固定観念か。

ポテチを食べるたびに、指に付く油が忌々しくて仕方がなかった。

油でベタベタになってゆくゲームのコントローラーやスマホを見て、己が無力さに枕を濡らした夜も一度や二度ではない。つーかゴメンただの一度もない。


こんな思いをするくらいならば、いっその事ポテチを食べるのをやめようとまで考えた。

でも出来なかった。なぜならわたしはポテチが大好きだったから。


これは仕方のない事なんだ。自分の手を汚さずして何かを得るなど考えが甘い。労働の対価として賃金を手にするように、油にまみれてこそのポテチの美味。

それが当たり前。わたしは自分にそう言い聞かせ、無理矢理に納得したふりをして生きてきた。

あの日、あの青年に出会うまでは。

 

数年前。

電車の中で、男子高校生が割り箸を使ってポテチを食べている姿を目の当たりにして、わたしはまるで稲妻に打たれたかのような衝撃を受けた。


そうだ。箸だ。箸があったではないか。なぜ今までそれに気が付かなかったのか。

朝食に出された焼鮭を食べるのに、わたしは手でちぎって食べていたか? 否。箸だ。

そう。ならば茶碗に盛られた温かいご飯を、わたしは手づかみで食べていたか? 否。箸だ。

そうだ。であるならば、真冬の夜に奥さんが作ってくれたシチューを、わたしは手ですくって飲んでいたか? 否。それはスプーンどすえ。


とにかくだ。この青年は、わたしを数十年間にわたって悩ませ続けてきた『ポテチの油問題』を、この世に生を受けてわずか十数年で解いてみせたのだ。これが天才というやつか。恐ろしい子


固定観念っすわ。ポテチは指でつまんで食べるものだと、ずっと信じて疑わなかったもの。

つーかこれはもはや既成概念でしょ。それくらい『ポテチ=手』は、社会通念として認識されていることだと思うんだけど。

 

そして固定観念というか既成概念というか、先日、長女(13)との会話でこんなやり取りがあった(意訳)。 


長「ねーお父さん。ツルの足って何本?」


私「ツル? ツルってって鶴? 鳥の?」


長「そう。何本?」


私「……なぞなぞ?」


長「なぞなぞじゃない」


私「え? 2本じゃないの?」


長「そうなの? ありがとう!」

 

わたしは直感的に、この会話をこのまま終わらせてはいけない気がした。

 

私「そうなのって。え、だって2本だよね。だいたい鳥の足って。」


長「そうなの? 分かんない」


私「待って。一旦待って。じゃあハト知ってるよね。アイツらの足は何本?」


長「えーと……4本」


私「え?」


長「え?」


私「あの、両翼を数に入れないでだよ?」


長「4本」


私「え?」


長「え?」


私「ねぇ。ハトがこの大地を強靭な四肢で雄々しく駆けている姿を一度でも見たことある?」


長「じゃあ3本」


私「ヤタガラスかよ。古事記の神武東征において神武天皇を導く役割をしていたと言い伝えられしヤタガラスかって」

 

わたしは質問を変えてみた。

 

私「ハトはもういいや。えーと……じゃあアヒルは?」


長「アヒルは足がないっ」


私「キミのその過剰な自信は何由来なの? 何で足を無くすの? 2本でしょ? 水かきの付いたやつ2本だよね!」


長「え、だって水で見えないから……」


私「目に見えるものばかりが全てと思うでない!!」


長女があまりに予想外の回答を連発するものだから、わたしもヒートアップして声が大きくなってしまっていたのだろう。奥さんが心配して間に入ってきた。


わたしがこれまでのやり取りを奥さんに説明すると、奥さんもわたしと同じ危機感を感じたようで「え、ウソでしょ? ちょっと待って?」と。

そうだろう。それが自然な反応ぞ。


奥「そうなの? アヒルって足あるの!?」


ブルータスよお前もか。これではミイラが2体に増えてしまっただけではないか。

 

私「ねぇ。アヒルは足がなくて、どうやって水面を進んでいると思ってんのさ? まさかゼンマイやモータが内蔵されているとでも思ってるわけじゃないんでしょ?」


長「じゃあ1本。フラミンゴみたく」


私「フラミンゴも2本足なの! アレ片足で立ってるだけなの! それにを飛ぶとはいえ、水中で生きているわけでもない地上の生き物だぞ。どういう理由があればわざわざ1本に進化する? 王か? 恐れ多くも世界の王の一本足打法を真似てやがんのか調子にのりやがってぇ」


奥「え、じゃあ白鳥も足が2本なの?」


私「うるさい。ややこしくなるからミイラはもう黙っていなさい。あと『じゃあ』とかいってお前らの思い付きで鳥類の足を増減させるのはもうよせ」

 


知らないことは何ら悪いことではない。わたしだって知らないことばかりだ。


でも誰か教えて。鳥類の足の数って、わたしが思っているよりも一般的な知識ではないのですか?

わたしは固定観念に縛られているのですか?

 

余談だけど、冒頭で書いたポテチの青年とは、その後電車の中で短い会話を交わすようになった。

そして彼が20歳を過ぎてからは、3ヶ月に1回くらいのペースで飲みに行く間柄になっていた。

大学を卒業した彼は今、とある大手お菓子メーカーの商品開発部に配属され、若くして開発リーダーの要職に付き、その辣腕を振るっているらしい。

彼には今年の夏に娘さんが誕生するらしく、「娘の離乳食にはポテチをお湯で溶いたものだけを与えるつもりです」という親バカならぬポテバカぶりを早くも発揮しているという一連の話が全部ホントだったらいいのにな。