俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

エブリデイ献立。

ウチのご飯は奥さんが作ってくれている。おいしいやつ。奥さん料理上手だからね。


結婚してからも娘たちが生まれてからも、自身が働きだしてからもそれは変わらなくて。十数年に渡って朝昼晩、ずっとわたし達のご飯を作り続けてくれている。きっとこれからも。全くもって感謝に堪えない。


でも別に奥さんがご飯を作らなきゃならない義務はどこにもないわけで。だから食事作りを分担しようとか、週末のご飯作りはわたしが担当するとか、そういう提案は何度かしたことがある。でもそのたびに奥さんから丁重に断られた。


理由は3つ。わたしに負担をかけたくない。あまりキッチンには立ち入って欲しくない。そして何より家族のために料理を作ってあげたい。好きでやっている事だから大丈夫なんだって。


いくら好きでも大変には違いない。で、何がいちばん大変なのって聞いたら、料理を作る事より毎日の献立を考えるのが大変なんだって。


だからパソコンで我が家のメニュー表を作った。奥さんが作ってくれる料理を毎回写真に撮ってメモをして。いわば奥さんの料理レパートリーの一覧。


奥さんにはすごく感謝された。ありがとうこれで毎日の献立を決めるのがとても楽になると。でもしばらくすると、奥さんがそのメニュー表を全然活用していないことに気がついた。


聞くと、メニュー表を作ってもらった事は嬉しかったと。でもそのメニュー表を見るたびに、自身のレパートリーの少なさが目に見えて嫌になってしまうんだって。


少ないだなんて、全然そんなことを思ったことはないけど。ただ異様な頻度で『〇〇丼』みたいなモノが出てくるなーなんて、そんな事をちょっと思ったことはあったけど。


多分だけど奥さんにとっては、一週間を5枚の服で着回しているような感覚なんだろうね。またこれ着るのか。わたしはこの服しか持ってないのかっていう。


じゃあレシピ本を見て作ってはどうかって提案してみた。ウチにはあるんだ。買ったはいいけどほとんど使っていなさそうなレシピ本が腐るほどに。


それを使って週末に一週間分の献立を決めて、その分の食材をまとめて買ってしまう。それで少しは献立を考えるのが楽になるんじゃないかと。

ただ、毎日レシピにあるような凝った料理は大変だから、比較的お手軽に作れるようなレシピ本を使うとかの工夫もして。


この方法は今のところ結構うまく行っているみたい。奥さんも毎日のメニューに悩むことはあまりなくなったというし、いろんな料理を作れて楽しいと。食べる側も楽しい。毎日の食事が前よりもっと楽しいものになった。使っていなかったレシピ本も活用できていいことだらけ。


ただ、前にも増してレシピ本が尋常じゃなく増えた。そしてまだまだ増え続けている。

この分だとミニマリストへの道は遠いかな。目指してないけど。ミニマリスト

じゃがいも+玉ねぎ+にんじん=?

仕事の話だけど。


お客様から「こんな感じのモノを考えてください」みたいな依頼があるのね。

で、セオリーで対応できる場合は適当な誰かが担当する。


でも中にはアイデア勝負みたいな案件もあって。いかにアタマを柔らかくして考えられるか、みたいなやつ。


そういうのだとセオリーじゃ対応できないから、担当者を決める前にみんなで案を出し合う。必須条件を共有して数日後の会議で一人ずつ案を発表すんの。


料理と同じって考えてもらえれば。じゃがいもと玉ねぎとにんじんがあります。この食材を使ってお客様が満足する独創的な料理を作ってくださいってこと。


で、数日後。会議の日だよ。みんなカレー作ってきてんの。鍋のフタを開けたら全員カレー。じゃがいもと玉ねぎとにんじんで作れるもの=カレー。セオリー通りじゃないか。セオリーカレーだこれは。どこが独創的なんだい。


何のためにみんなが集まったのさ。セオリーではいかんともし難いからでしょ。みんなの斬新なアイデアを必要としてんの。10人集まったら10人それぞれが他の人の考えないような案を考えてこないと。


カレーだけじゃないでしょう?その材料ならシチューだって作れるだろうし、肉じゃがもいけるんじゃないの? ほら、少し考えただけでもう二つも出たよカレー以外の料理が。つってもシチューも肉じゃがも独創的かどうかって言えばハテナだけどさ。


みんなそれぞれ忙しいから。明らかに手を抜いてんだよ。そもそも案を考え出すのが会議の前日とかなんだから、そりゃ斬新なアイデアなんて出るわけがない。加えて頭数が増えれば「誰かがやるだろう」って手を抜く人も出てくるし。働きアリの法則。


偉そうに言うけど、わたしは違うよ。わたしは絶対に人とかぶらないような案を考える。仮にものすごくいい案を思いついても「これ誰かが出しそうだな」って思えば捨てて次を考える。もったいないけどね。でもそれでこそみんなが集まる意味があると思うんだ。


だからわたしが考える案はいつも斬新。誰ともかぶらない。唯一無二の案。でも斬新過ぎて危なっかしいから採用率が著しく低い。悲しい。会社に貢献できてなーい。でもいい。これがわたしの生きる道。イイ感じ。


といっても斬新でありさえすればいいわけじゃないから。ちゃんと冷静な視点でのジャッジは必要。

巨大な小惑星が地球に急接近している時に、NASAの会議室に集まったトップレベルの科学者たち全員が「よーし! 石油発掘業者のオッサン連中に小惑星を掘削させて核爆弾を埋め込ませよう!!」って提案しだしたら人類滅亡まっしぐら。「いやそれハリウッド映画だから」っていう冷静な視点が必要。

 

それと最終的な案の選び方ね。「この中から多数決で案を決めます」とか言い出すんだよ。


いやちょって待って。いいのこれで? いま決をとったところで結局はカレーだよ? だってカレーしかないんだもん。お殿様は独創的な料理をご所望なんだから。カレーなんて出したら手打ちぞ。


もっとひどいケースだと、「出た案の中からどれにするかは上層部に委ねよう」って言い出すからね。

ざけんなって。自然薯の先っちょみたいな干からびた上層部のジジイどもに料理の味なんて分かってたまるかよ。どこぞのファミレスみたいにね。開発チームの皆様方が苦労に苦労を重ねて作り出した新メニューをオジイ社長の鶴の一声でボツになっちゃうみたいなのはこの令和の時代ではやめとけ。社長が味オンチだったらそれで終わりなんだぞ。どれだけみんなが力を掛け合わせても、その中に一人でもゼロがいたらゼロになるからね。無情。


何でこんなに偉そうなのかっていうと、今日は何だか無性にカレーが食べたくって。欧風じゃなくてインドカレー。カレーっていうかナンが食べたい。チーズナン。チーズナンがあればカレーいらない。今すごくそういうフィーリン。でも今日の晩ごはんは魚なんだって。サバ。塩焼きの。サバも美味しいよね。サバカレーも美味しいのかな。

扇風機レジスタンス。

今年の夏前に扇風機を買い替えたんだけど。アイリスオーヤマの。そんなに高くないやつ。


新しく買ったアイリスの扇風機には、首の旋回を制御するスイッチがない。一昔前の扇風機にあった、ツマミを上下させるアレね。



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うん。それは全然関係ないんだけど。扇風機の首が横を向いていたとするでしょ。わたしに対してプイッとそっぽを向いている状態ね。

で、正面に向けるために首を動かそうとするんだけど、全然動かない。かたくなに抵抗すんの。強引にこっち向かせようとするんだけど、首はそのままで本体ごと回っちゃう。


この野郎。お前はマンガとかでよくいる裕福な家庭に生まれて何不自由なく育てられた一人娘のワガママお嬢様かよ。何の取り柄もない平凡な庶民の主人公を期せずして好きになってしまったけど、その気持ちを本人に悟られたくなくないけど悟られてしまって「俺のこと好きなんだよね?」って主人公に顎クイされて本心は嬉しいけど「あなたごとき平民がわたくしに触れるなど、天地がひっくり返ったとしてもあってはならぬ事ですわよ!」とかツンデレで抵抗する素振りなどしてみたらお嬢本人が思っていたよりも首の筋肉がゴリラ並みに発達しており結局首は回らず体ごと回転してしまった事から以来お嬢様は村人からゴリネックとよばれるようになったそうな。


何か融通が効かないっていうか。昔の扇風機って首を動かそうとしたら普通にカカカって動いたじゃない。科学文明は進歩しているはずなのに、何で扇風機の首だけ退化してんの。年取ってガンコになったジジィかよ。


だからわたし、必殺仕置人の念仏の鉄よろしく両手で首を挟んでコリッてして差し上げたら扇風機の首がイッた。ガックンガックンになった。


やっちまった。刑務所に入りたくないよぉ。

『しゃべれるくん』は、しゃべれるけど『たべられないくん』だった。

サイゼリヤさんが新型コロナ感染防止対策として開発・発表した『しゃべれるくん』。

知っている人も多いとは思うけど、詳しくはここを見てほしい。 

https://www.saizeriya.co.jp/PDF/irpdf000805.pdf

 

紙ナプキンを自分のマスクに折り込んで口に前掛けを作る。その前掛けがガードとなって、感染リスクを下げつつ食べたりしゃべったり出来るという画期的なアイテム。

 

インパクトのある見た目から賛否はあるみたいだけど、わたしは素晴らしい試みだと思う。今の時期は外食を避けているので機会は少ないと思うけど、もしサイゼリヤに行った際には必ず装着して食事をしようと決めていた。

 

 

話は変わってつい先日。

毛布を洗濯するために、奥さんと近所の大型コインランドリーに行った。46年間の人生で、わたしはこれが初のコインランドリー。

洗剤とかは自動で出てくるから入れなくて良くて、柔軟剤はガチャガチャで売られいた。

 

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こんなふうに。

 

『いまだけ限定』の文字に心揺らいだけど、わたしは安定の『お客様人気No.1』を選んだ。

 

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日本最大の陸生哺乳類のくせに媚びを売る熊。

 

柔軟剤のカプセルを開けたら紙のシートが入っていた。これをビニールから出して入れるらしい。

 

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これが柔軟剤とは。

 

パッと見だと末端価格いくらのアレに見えなくもないけど、安心してください。とてもいい香りのする紙。触ったら指がすごくいい香りになった。もったいないからTシャツとズボンにこすりつけた。全身がいい匂いになって幸せ。

 

朝イチで行ったこともあり、他にお客さんは誰もいなかったし、わたし達が帰るまで誰も来なかった。

洗濯が終わるまでの1時間を缶コーヒーなど飲みながら奥さんと色んな話をした。このコロナ禍で行動が制限されがちの中、久しぶりに味わった開放感だった。幸せは案外と身近にあるものだな。

 

缶コーヒーで思い出したんだけど、こないだ故あって工事業者さんに家に来てもらった。1時間ほど作業をしてもらい、帰る段になってお礼と共にペットボトルのコーヒーをお渡しした。3人いらっしゃったので3本。

 

わたしが近所の自販機に買いに行ったんだけど、そこでふと思った。こういう時はいつも缶コーヒーを買ってお渡しするけど、皆がみんな缶コーヒーを好きなわけじゃないよな。今は若い世代で缶コーヒー離れが深刻という話も聞いたことがあるし、業者の方々がその若者だという可能性は十分にある。

 

ここはペットボトルのお茶にしておくか。でも缶コーヒーも捨てがたいしな。何が捨てがたいのか全然分からないけど、何だか不思議と缶コーヒーをやめるという選択が容易に出来なかった。こんな些細なことでも長年の習慣を変えるのって難しい。しばらく自販機の横で悩んだ末、折衷案としてペットボトルのコーヒーになった。どうでもいい話? じゃもうやめるね。

 

 

話を戻してコインランドリー。

すっごい楽しかった。わたしは岡本真夜さんじゃないから見るもの全てに怯えたりはしないしどんな時にも明日は来るんだけど、とにかく見るもの全てが初めてのものばかりで新鮮だった。

 

ずっとキョロキョロしていたから首が痛くなった。これは思わぬところに伏兵が。初めてのコインランドリーでは首を痛める。これはメモしておこう。前世の記憶として来世の自分に伝えよう。もしわたしの来世が人間だったらの話だけど。

 

輪廻転生の理に照らし合わせれば、わたしの現世での行いではギリで人間に生まれ変われそうな感じはある。でも修羅界になってしまう可能性も同じくらいある。さすがに畜生界や餓鬼界には落ちないとは思うけど、それもこれからの行い次第かな。謙虚に生きていこうと誓った平日の午前11時30分。

 

午前11時30分とは、それはもうランチの時間。朝ごはんを食べずにコインランドリーに来たのでお腹が空いていた。さて何を食べよう。

奥さんは前日から生理だったので、我が家のルールである『楽々デー』が適用されていた。出来るだけ家事などをせず楽をする日だ。だからご飯も楽したい。平日だし2人だし、近くにあるサイゼリヤに行くことにした。

 

オープンからさほど時間が経っていないので、お客さんもそれほど多くなかった。席に案内されると店員さんからオーダー方法を説明された。今は出来るだけ接触を避けるため、注文する料理の番号を備え付けの注文用紙に記載するらしい。

 

オーダーが決まったので注文用紙を取ろうとした時、それはあった。しゃべれるくんだ。

 

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なぜ『くん』なのか。その筋からクレームが来なければ良いが。

 

しゃべれるくんは普通にナプキンのところに入れてあった。考えてみれば普通のナプキンに絵を印刷しただけのものだから当然か。

 

ここで冒頭の文章を思い出して欲しい。

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インパクトのある見た目から賛否はあるみたいだけど、わたしは素晴らしい試みだと思う。今の時期は外食を避けているので機会は少ないと思うけど、もしサイゼリヤに行った際には必ず装着して食事をしようと決めていた。

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その機会は思ったより早く訪れた。

周囲を見回してみたけど、8組ほどいらっしゃったお客さんの誰一人としてしゃべれるくんを装着している人はいなかった。何なら目の前の奥さんすら装着する気配がない。

 

でも大丈夫。わたしは平気。しゃべれるくんを使うことに何ら抵抗はなかった。たとえそれがこの広い店内でわたしだけだとしても。

いや。わたしだけだというそのマイノリティは、普段から何かとロンリーウルフを気取っているわたしにとってはこの上ないご馳走になるだろう。

ただ、しゃべれるくんを推奨している割に、特に使い方を書いた説明がなかった。仕方がないのでスマホで調べて装着した。

 

ドリバ(ドリンクバーの意)を利用するお客さんが、わたし達の前を通過する度にわたしをチラ見する気がする。向かいの席の中年女性に至っては遠慮なくわたしをガン見する。大丈夫だ。いい。いいぞ。もっとくれ。その異質なものを見る目、わたしは嫌いじゃない。

でも店員さんにチラ見をされたのは、ちょっとイヤだったかな。あなた方が推奨しているものでしょう? わたしが伊達や酔狂でやっているわけじゃないんだから。正直言えば誰が好き好んで自分の顔の下半身に越中ふんどしを装着したいなんて思うの?

 

 

 

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とはいっても、多分わたしの自意識過剰だろうけど。

 

まぁ正直言って装着した時の見た目はアレだけど、感染防止に効果があればそんなものは些細な問題だ。

そう思いながらランチに付いていたスープを飲もうとしたらクチビルをヤケドした。あちい。越中フンドシが邪魔をしてスープのカップが見えない。カップとクチとの位置と距離感が全く分からない。結構な勢いでスープカップを上唇にぶつけてスープをこぼした。

運ばれてきたハンバーグをクチに運ぼうとしたら、やっぱり上唇にぶつかって口の周りがソースだらけになった。

 

ダメだ難易度が高すぎる。しゃべれるくんをシースルーにしてくれないと上手に食べられない。普段だって対象物をそんなにガン見して食べたり飲んだりしていないはずなのに。一枚のナプキンで視界を遮られただけで、こんなに食べるのに苦労するなんて。

 

からしゃべれるくんを外して食べた。だってしょうがないじゃない。『しゃべれるくん』はしゃべれるけど『たべられないくん』だったんだから。

 

でもしゃべれるくんは素晴らしいと思う。サイゼリヤさんはスゴイ。

ムカデの方。

同じフロアで働いている別部署の男性社員Aさん。

 

普段はとても小さい声の人なんだけど、コンピューター分野の話題になると声の大きさがシャア専用ザクになる。

 

シャア専用ザクと言ってもオッサンにしか意味が通じないと思う。だから少し詳しく説明すると、通常のザクの3倍ってこと。以上、説明終わり。

 

 

そのAさんなんだけど、別にいいんだ声が大きくても。でもお昼休みにそれをやられちゃうと困るの。ウルサイから。わたしはお昼休みは静かに過ごしたいんだ。聞きたくもない話を無理やり聞かされているのは苦痛なの。

 

アルゴリズムがさー」がAさんの口癖なんだけど、それをほんの少しだけだけカッコいいと思っ

てしまって、一時期わたしも口癖になってしまった黒歴史がある。その時の恨みから、Aさんの事をわたしの中だけで密かに『マイコン』と呼んでいる。

 

マイコンってのは『太陽にほえろ!』のマイコン刑事のこと。気象予報士のくせに熱帯雨林気候なみの暑苦しさを身にまとう石原良純さんが演じていた。

 

誰もモノマネしないよね。松田優作さん演じるジーパン刑事のモノマネをする人はたくさんいるのに、マイコン刑事のモノマネは見たことがない。

 

モノマネといえば、こないだ『松本等しい』という、松本人志さんのモノマネをする人の存在を知った。すごい衝撃だった。外見は確かに似ていたけど、声は似てなかった。じゃあ何が衝撃かって、その芸名。

松本人志さんに似ている人は沢山いるだろうけど、この人は『松本等しい』という芸名を思い付いた事がスゴイ。神が与え給うたとしか思えない。たぶん神様は松本等しいさんの初期パラメーターを振る時、10のうちで『見た目』に3、『芸名』に7を振ったんだろう。

 

 

で、Aさんに戻るけど。少し前の会社での出来事。

 

「トイレにムカデが出た!」と、遠くの方で女性社員が叫んだ。

 

それを聞いたAさんが「でもムカデはゴキブリを食べてくれるから、駆除しないでそのままにしておくのが一番いいんだぜ!?」と、フロア中に響き渡る大声で言い放った。

 

肉を切らせて骨を断つのか、骨を切らせて肉を断つのか。何だかよく分からないけど、少なくともわたしは肉も骨も切られたり断たれたりしたくないんだけど。

 

「一番いいんだぜ」って言われてもね。全然良くない。いくらゴキブリを駆除してくれてもムカデだってキモい。しかも毒持ってるし。ゴキブリはやっつけてくれるけど顔を合わせるたびに肩パンチしてくるヤツとは暮らせない。


その後、女子トイレに出たムカデがどうなったのかは知らない。でもどうやらAさんはコンピューター関連に留まらず、ムカデ関連にも強いらしい事は分かった。

煮え湯リベンジ。

同じ部署の上司が、このほど定年を迎えられる。

 

そんな上司にわたしが出来る事は、フランク三浦の時計を贈ることだけだった。


いきなり結論に飛躍してしまったから、順を追って話すことにする。



同じ部署の上司が、このほど定年を迎えられる。

 

定年といっても退職ではなく、嘱託として仕事は続けるらしい。

 

顔が一休さんに似ているから、以後「一休上司」と呼ぶけど、似ているのはアニメじゃなくて本物の方。室町時代に実在した臨済宗の高僧、一休宗純

 

 

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 これじゃなくて……

 

 

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 こっちの方。



うっそーん。これは映画『ウォータームーン』の時の長渕剛さん。本物の一休宗純はこちら。


 

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畜生クリソツじゃないかよ。コレもうどっちでもいいわ。



顔は高僧に似ているけど、人としての徳は似ても似つかない。一休上司の徳は相当に低い。

 

『この橋わたるべからず』の看板を見れば両目を覆い隠すし、「この屏風の虎を縛ってみせよ」と言われれば食い気味に両耳を塞いでアーアー叫ぶ。

一休上司はそんな人。日光東照宮の三猿のうち二猿は一休上司だったんだよ。そんな上司を誰が信頼できると思うの? 猿なんだぞ?

 

今までに一休上司から何度煮え湯を飲まされた事か。でも煮え湯を飲まされるって、嫌なことをされるという意味じゃなくて『信頼している人に裏切られる』的な意味なんだって。

 

え、じゃあわたしが一休上司から煮え湯を飲まされたのは、納期が1ヶ月あった仕事を2日前になって突然に渡された、新人時代のあの一回だけって事になるじゃん。だってその時に彼への信頼がなくなったんだから。

 

その後のこと、例えばわたしが上申した業務改善案を放置したあげく、半年後に他の人から上申された同類案を採用されたあの時も。

わたしが会社に泊まり込んで徹夜で完了させた至急案件を、まるで自分の成果のように得意げに顧客に説明されていたあの時も。

 

あれもこれも全部煮え湯じゃなかったって言うの? じゃあわたしはいったい何を飲まされていたの? あ、悔し涙? うまいこと言ってんじゃないよ。納得行かないな。

 

早い話がわたしは一休上司が大キライ。

でもそんな彼でも長年同じ会社で働いてきた仲間。今までの事は水に流して、定年祝いにプレゼントの一つでも贈りたい。

 

なんて事は全然思っていなかったけど、名誉な事に付き合いも長いわたしが部署代表としてプレゼントを選ぶ運びと相成った。ヤヴァイ。

 

何がヤヴァイって、だって何をプレゼントすればいいのか検討もつかない。わたしは一休上司の趣味嗜好を何も知らないから。付き合いは長くても雨上がりにできた道端の水たまりくらいに浅いんだ。

 

だから時計をあげることにした。フラン三浦の。3千円くらいのやつ。

 

 

 

 

これからも嘱託として働き、時間に追われる生活が続くわけだから。新しい時計で心機一転するのも悪くはないと思って。

 

何でフランク三浦かというと、わたしが欲しいから。それだけ。だって何も思い付かねーんだもんプレゼント。

 

噂によるとフランク三浦の時計は1週間に1分の遅れが生じるらしいから、嘱託後の定期タスクとしてチマチマと時間修正をしてもらおう。

 

これがわたしの一休上司への復讐だ。今度はわたしの煮え湯を飲んでもらおう。わたしが一休上司に信頼されていればの話だけど。


なんて事を冗談混じりに同僚たちに相談したら、超大マジメに却下された。

 

人としての徳が低いのは、一休上司よりわたしの方だった。