ローソンに立ち寄った。
次女(8)がからあげクンを欲しがったので買った。
でも残り1コだったので、長女(11)の分が買えなかった。
だから次女に「長女に半分わけてあげてほしい」とお願いした。でも次女からは色よい返事が返って来なかった。
強制はしたくなかったので「長女ちゃんにも食べさせてあげたいんだ」とか「逆だったらどう思う?」とかあーだこーだ説得したが、次女はなかなか納得してくれなかった。
わたしは次女の態度にカチンと来て「何だお前は。自分のお小遣いで買ったわけでもないくせしやがって何をエラそうに独り占めするか。そんなことではこの先お前に何かを買ってあげることなどできないぞ。どうするんだ分けるのか分けないのかはっきり選べ」
わたしのイライラが充分に伝わってしまったようで、次女はいかにも渋々という様子で「分かった・・・」と言った。
わたしはその物言いにさらにカチンと来て「嫌々分け与えるくらいならはっきりイヤだと言え。それとダラダラ喋らないでもっとシャキッと喋れ」と、さらに追い打ちをかける始末。
嫌だなどと言えるはずもない。結局のところわたしは選択肢を与えているように見せかけて強制しかしていない。子どもの意思を尊重する理解のある親のフリをして、わたしの理想通りの態度をとらない次女に腹を立てている。お願いをしたらニコニコと笑って「うんいいよっ!!」と言ってくれる娘を勝手に期待している。
まだ8歳だ。一度は自分の物と思ったからあげクンを、誰かに分け与えるのが難しかったとしてもおかしくなはない。しかもずっと車で寝ていたので、ただでさえ寝起きで反応がイマイチだった。
そんな次女を不憫に思ったのだろう。長女が次女を庇うように「(別にダラダラ喋ってるわけじゃなくて)寝起きだったからじゃない?」と言った。
すでに生来の短気に火が付いてしまっていたので、わたしは今度は長女に噛み付いた。
「寝起きかどうとか状況の話をしてるんじゃねえんだよ。だいたいお前のその偉そうな言い方はなんだ。もっと言葉に気をつけろ」
言葉に気をつけるのはわたしだっつーのバカ野郎。まず次女を庇った長女の優しさや勇気を讃えて差し上げろ。
家に着けば、そんなときに限って玄関の傘立てが倒れてきた。わたしの体や荷物の一部が当たったからに違いないのに、それすら悪意を持ってわたしに攻撃してきたとしか思えなくなっていたので蹴りをお見舞いしてやった。
「お布団は俺が敷くからいいよ」って言ったのにお布団を敷いてくれている奥さんに「俺がやるって言ったじゃん!」と八つ当たりをかます。俺の疲れをおもんぱかっての行動なはずなのに、それすらも分からなくなっていた。
わたしは稼ぎは少なくても、それなりに良い夫であるし良い父親でもあると思っている。人に対しても一定の思いやりや敬意は持っているつもりだ。
でもそれこそ一皮剥けば、わたしは短気が服を着て歩いているような人間であると自分で知っている。
いったい本当の自分はどっちなのか。
そんなことを考えていたら一向に眠れず、うつらうつらと朝まで満足に眠れず。
朝、LINEで奥さんと娘たちに謝った。
悪いと思ったらきちんと謝罪する親の姿を見せる、そんないいものではなく、膨れ上がる罪悪感を抱えきれなくなり、謝罪して楽になろうと逃げただけだ。
疲労から仕事の効率は上がらず。予定していた歯医者さんを「仕事が忙しい」とウソをついてキャンセル。ウソをついてキャンセル? いったいわたしは40を過ぎて何をやっているんだ。
奥さんはそれでもいいと。方便だと。
わたしは「方便は人のためにつく嘘だ」と。
奥さんは「疲れたから行きませんって言ったら、受付の人が嫌な思いをするでしょう? だから方便だよ」と。
わたしは「それはもはや方便ではなく詭弁だ」と。
一生懸命慰めてくれようとしている奥さんの言葉に、うまい切り返しが出来たウフフとほくそ笑んでいるわたしはまだまだ反省が足りない模様。
ただいま、近年まれに見る盛大な自己嫌悪に苛まれ中。