前回、わたしという人間の小ささ並びに至らなさが露呈したわけだけれども。
こんな父親なのに、長女(11)は八つ当たりされた翌日でも、わたしのために冷蔵庫でグラスを冷やしてくれていた。
次女(8)は「スーパーに行ったからおみやげっ!」と100円もするアイスを自分のお金で買ってきてくれた。
奥さんに至っては相も変わらずただただ菩薩だ。
ことあるごとに思うのは、この家族でなければわたしはとっくに潰れていただろうということ。
人間不信でストレスを溜めやすく、ネガティブで口を開けば罵詈雑言ばかり吐いている、短気は損気を体現したわたしのような人間を、この家族はいつでも無条件で認めてくれる。
この家族でなければ、わたしは絶対にどこかで潰れていた。
先日の朝。
出勤のために家を出ようとしたわたしに、娘たちがお弁当を渡してくれた。前日の夜に私にナイショで2人で作ったんだと。
娘たちは普段からわたしに色々してくれるので、わたしもそういう善意には多少慣れっこになってしまっていたのかもしれない。もちろん嬉しかったけど「へーありがとう。大変だったでしょう?」と比較的普通に受け取った。
そしてお昼休み。
わたしはお弁当をひろげた。
まずわたしのデスクにてお弁当の全景。
恐らくはごま塩で握ったであろう、次女作のおにぎり。
あらゆるものに(ミニトマトにすら)ピックの刺さったおかず群。
長女作の、卵焼きと融合した形の奇妙なおにぎり(どうやらオムライスのつもりらしい)。
正直、受け取った瞬間に大した感動はなかった。
でも一つ一つ写真を取っている内に、スマホの画面がぼやけてきた。
お世辞にも綺麗なおかずじゃなかったし、ごま塩のおにぎりは全っ然味がなかったし、オムライスのおにぎりはベッタベタで食べにくいことこの上なかったけど、でもすごくおいしかった。
父の日でもわたしの誕生日でもない、全く普通の日に、ただ自然に「おとうさんのためにお弁当を作ろう」と思ってくれたその気持ちがヤバイ。
こんなわたしでも愛されている。きっと。
そう言えば、長女は最近グラスを冷蔵庫で冷やすのがお気に入りだ。
わたしが喜ぶのと「男は単純だからグラスを冷やすだけで落とせるぞ」と言ったからかもしれない。