俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

将来の娘の結婚式のために(過去記事再編集)。

お題「雨の日のちょっといい話」


わたしが読者登録をさせてもらっている、どこかの誰か (id:sourceone)さんが『雨の日のちょっといい話』を募集されていました。

この試みにわたしも参加させていただこうと思います。
今回のテーマに該当しそうなエピソードが過去記事にあったので、それを再編集して公開します。




「お父さん、プレゼンがあります!」

とある木曜日の夜。
わたしが仕事から帰るやいなや、長女(11)が言った。

「今週の土曜日にお花見をしましょう! お弁当は私が作ります!!」

む。この決意に満ちた表情。これはよほどの強い意志があるとみた。
あい分かった長女よ。この父はそこまで愚鈍ではない。みなまで言う必要はないぞ。


断る。お花見には行かぬ。
長女よ知っているだろう? わたしは桜を愛でない。
綺麗とは思う。だが桜は華やかさが前面に出過ぎて可憐さに乏しい。どうにもわたしの琴線に触れないのだ。
従ってお花見にも一切の興味がない。


それと、お前のそれはプレゼンではないYo!
それじゃ一方的な要求に過ぎないZey!
相手を説得して同意を引き出す工夫をした上でやり直Say!!


わたしのひねくれた性格など百も承知の長女は、めげずにプレゼンをやり直した。
そして最終的には「お花見は超楽しいッス!!」という、狂おしいほどに主観な『感想』で締めくくりおったわ。


まぁつたない主張ではあったが、その熱意並びに想いを伝えんとする努力は評価に値する。
かくして我が家は、週末の土曜日にお花見をする事と相成った。


金曜日の夜に、家族みんなでお弁当を作った。
長女は「私が全部作りたいな」と主張したが、それはダメだ。なぜなら正直に言うよ?キミに全部を任せてしまうと、御弁当が汚弁当になってしまうからだよ? ワイ君も苦しいかもしれないけど、いちばん苦しんでるのはこの娘なんだよ!?(←特に意味なし)。


というわけで、一人でお弁当を作りたがる長女に「一人で作るのは大変過ぎるし、みんなで苦労を分かち合ってこその楽しみぞ」と言いくるめて納得させた。

これが作ったお弁当たち。

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こうして準備は整った。
明日の快晴を願い、次女(8)が作ったテルテル坊主をぶら下げて、いつもより早めに就寝した。

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おやすみなさい



そして翌朝。雨。強めの雨。ハードレイン。
こんなにハードレインが好きなのは、1996年当時の相川七瀬さんくらいしかおらぬ。




泣き崩れる長女。
絶望する次女。
なす術のない無力なわたしたち両親。


雨を予想していなかったわけではない。なぜなら前日の天気予報では、微妙な感じで雨マークが付いていたからね。
でも、だからこそのテルテル坊主だったのに……。


あれ? もしかしてテルテル坊主って、(陽が)照る照るってことじゃない?
そして坊主ってのは、和尚どもの頭が剃髪してテカってお日様みたいだからじゃないの?
うーん勉強になったネ!


クソが。そんなことどうでもいいわ。
憎い。雨が憎い。
かつてこれほどまでに強い憎しみの感情を抱いたことはない。
と思ったけど、以前に観たディズニーの実写版『美女と野獣』に登場したクズ野郎のガストンに、今回と同じくらいの憎しみをいだいた事を思い出したので前言撤回するね。


何が恵みの雨だこの野郎。わたしのこのやり場のない怒りはテルテル坊主、お前が受けろ。
わたしが怒りにまかせてテルテル坊主を睨むと、信じられない事が起こっていた。

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皆さんお気づきだろうか?
下を向いているこのテルテル坊主。実は、昨夜に次女がぶら下げた時点では、このように上を向いていたはずなのだ。

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チャララーチャラチャララー。
ビートたけしの超常現象シリーズで、チュパカブラとかが出てきた時に流れるBGM)

やだオカルティー
つーかお前の仕業かこの野郎。お前が下を向きさえしなければ、今頃は快晴だったと考えられるぞ。
許さないからな。お前など二度と頭が下がらないように頭を小さくして八頭身の超絶ボディにしてやるからその暁には一晩お相手お願いし申す。


それはともかく。さてどうしたものか。
二度寝に入った家族を横目に、布団の中で一人思案の時を過ごす。


雨さえ止めば強引に決行しちゃうんだけどな。ぬかるんだ地面にはシートを敷けばいいし。
桜が散っていても別にいいよ。何なら地面に落ちている花びらを愛でなさいな。
外に出てお弁当を食べれば、それだけでそれなりに楽しいでしょう。
泥だらけにはなるかもしれないけど、いい思い出にもなるはず。


しかし雨は一向に止む気配はなかった。
いっそのこと傘をさしてやるか。いや、この雨の強さではさすがにムリだ。
しからば日曜日に延期……もダメだ。日曜日はもっと強い雨の予報だし、何よりみんなで作ったこのお弁当はどうなる?


いよいよ万策尽きた。もうあれをやるしかない。
実はわたしの頭の中には、本当にどうにもならなかった時の最終手段として、ある一つの案が浮かんでいた。

「もはやこれしかねぇ」

時間がない。わたしはさっそく実行に移った。

正方形のメモ用紙を折り折りしてこんな形にする。

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赤のラインをハサミで切って優しく開く。

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さくらの花になる。

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これにピンクと黄色の色鉛筆で色を付ける。

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ダイニングテーブルのクリアマットの下に配置する。我が家のリビングがお花見になる。

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なっているでしょう?
なっているよねお花見に。
言って。待ってるから。わたしいつまででも待ってるから。あなたからそう言って。うるせえこの野郎言え。


もっと満開な感じになるのを想像していたけど、2時間かけて60枚作っても五分咲きといったところか。
本当は一枚ずつ糸で天井から吊るそうと思っていたのだが、時間が足りずに断念した。


娘たちより一足先に起きてきた奥さんは、わたしの努力を称賛してくれた。
そしてこの日が8歳の誕生日だった次女と、お花見を企画してくれた長女へのお礼のメッセージを書いてくれたんだ。


次々に起きてきた娘たちも喜んでくれた。
もちろん本物のお花見には敵わないのは分かっているが、お弁当も美味しかったし、まぁこれで良しとしようか。


朝の7:00から始めて完成までに2時間。最初はワクワクしながらの作業だった。
完成したらきっと綺麗だろうし、娘たちは絶対に喜んでくれる。そう確信していた。


しかし時間が経つにつれ、徐々にその思いが揺らいできた。
果たしてこんなもので娘たちは本当に喜んでくれるのか?
次女あたりは「これお花見じゃなくない?」くらいは言うんじゃないだろうか?


負のマインドて脳内が埋め尽くされ、もうやめてしまおうかと考えたりもした。
いったいわたしは土曜日の早朝から何をやっているのかと。
ちっちゃいメモ用紙をオリオリチョキチョキ。シザーハンズかよと。

そんな不安定な精神状態にあったわたしを支えていたのは、いつか列席することになるであろう娘達の結婚式だ。
結婚式で読む新婦からの手紙。娘たちはこの日のことに触れるだろう。そして最後にこう締めくくるのだ。

「わたしにとって世界一のお父さんです」


それ。そこ現場。事件は会議室で起きてるんじゃない。結婚式場で起きてんのよ室井はん。「あんおぉすぃんまぁっ」とか言って奥歯食いしばってるバアイじゃないっての。


それだけ。もうそれだけのためこの作業をやり遂げた。

すべて雨のおかげ。
雨が降ってくれなかったら、今日の事が我が家の歴史に刻まれることはなかった。
雨が降ってくれたおかげで、素晴らしい思い出が出来た。


ありがとう雨。これで老後もこの思い出を反芻しながら何とか生きていけそうだよ。

ありがとう相川七瀬さん。わたしもあなたと同じ 『LIKE A HARD RAIN』 だよ。