俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

目に映る全てのことはメッセージ。

電車に乗り、バッグから読みかけの本を取り出して読んでいた。


とある駅で乗ってきた人がわたしの対面に立つ気配を感じたが、わたしは本から目を離さず、その人を目の端で捉えるに留めた。女子高生だった。


女子高生だからといって特に意識はしない。女子高生は女子高生。それ以上でもそれ以下でもない。最近では加齢が原因か、もはや女子高生にそういうアレはほぼ感じないようになった。


ただそこはわたしも男性。痩せても枯れても男性だ。女子高生がどうとかではなく、異性という存在に好意的に見られたいという気持ちは働いてしまう。


なので。

本を読みながら時おり顔を窓の外に向け、さも何かを憂うような表情をして見せたり。

額に指を当てて眉値を寄せ、思慮深そうな素振りをして見せたり。

天井を見上げて目を閉じ、本の内容を噛みしめるような仕草をして見せたり。

早い話が対面の女子高生に向けて全力でカッコつけてしまったのだ。読んでいる本はエンタメ小説なのに。


対面の女子高生がこちらを見ているかどうかは定かではないし、それは問題とはならない。見ているかもしれない、いや見ているに違いないという思い込みで脳内麻薬を分泌させ、一人悦に入るという楽しみ方だからだ。

 

降りるべき駅が近づいて来たので、わたしは読んでいた本をバッグにしまった。そしておもむろに顔をあげたわたしの目に映ったのは、女子高生ではなくただの細身のおっさんだった。


やってくれたなこの野郎。

一体何なんだお前は。狂おしいほどに細いじゃないか。そんなに細いのは有史以来、キャンパスリップほそみとお前くらいだぞ。タイトルマッチを一ヶ月後に控えて絶賛減量中のわたしからすれば羨ましすぎる。何も控えてないけど。


おっさんアンタが一切悪くないのは分かっている。非はアンタを勝手に女子高生と勘違いしたわたしにある。


だが、近すぎて見えない奇跡があると言うから、わたしは見えないものを見ようとして望遠鏡を覗き込んだのだ。

それで見えたのが細身のおっさんではあまりに報われないではないか。瞳を閉じたくなる。

目に映る全てのことはメッセージと言うなら、今わたしの目に映っているこの細身のおっさんには、一体どんなメッセージがこめられているというのだ。


わたしには分からない。

今のわたしに出来ることは、見るものすべてに怯えないで、明日は来ると信じることだけだ。