俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

身長差が生じた少年二人の幸せな結末とは。

数ヶ月ほど前のこと。


駅のホームで電車を待っていた時に、小学校低学年と思われる男子二人の会話が聞こえてきた。


A「背、ボクと同じになったね」

B「うん…。何か、ゴメンね」

A「ううん。同じ目線になれてうれしい」

 

アヒャーかっけえ。

「同じ目線になれてうれしい」

このくらいの年齢で、こんなにも気の利いた言い回しが出来るものかね。感心した。


と思ったけど。

互いに向き合い真っ直ぐな目で語り合う二人を見ている内に、Aは別に気の利いたことを言ったわけではなくて、本心から出た言葉なんだと理解した。


「昨日ヒザやっちゃってよぉ。今日のマラソン大会ダメだわ。一緒にゆっくり走ろうぜ」


「オマエ試験勉強した? 俺ゲームばっかやってたからヤベーよ。一緒に補習受けような」


友人と呼んでいた奴らのこんな言葉に、わたしは何度ダマされたことか。

何が一緒かクソ詐欺師どもが。お前らなんかとは一生一緒にいてやらぬ。見てくれや才能も全部含めて拒否するゥ。


でもAの言葉には、そういう下卑た白々しさが全くなかった。Bと同じ目線になれた事が本当に嬉しかったのだろう。

 

ただ。

その言葉を聞いたわたしの胸には、春の木漏れ日のような暖かさと同時に、冬の訪れを感じさせる秋風のような物悲しさも去来してしまったんだ。


だってこれきっと、AとBが同じ目線で話せる時間はそう長くないよね。

今のペースでは遠くない将来、BがAの身長を追い抜くことになりそうなオイニーがプンプンするんだけど。


そうなった時、AはBを見上げて、

「背、オレより大きくなったな」

そう言えるのかな。


BはAを見下ろして、決まりが悪そうに

「うん…。何か、ゴメンな」

そんな風に答えるのかな。


仮にそうだったとして。

でもその後はどうすんの。

Bのその言葉に、Aはいったい何と答えればいい。


「同じ目線になれて嬉しい」

ノン。それは言えない。売り切れ。販売終了だ。

だって二人はもう君の言う『同じ目線』ではなくなってしまっているのだから。


「やっと俺のところまで登ってきたか」

少し落ち着いた方がいいな。謎の上から目線になっているぞ。

確かにBは君のところへ辿り着きはしたが、いまや君を追い越してしまったんだよ。


「待ってろ。すぐに追いついてやるぜ」

その意気や良し。

その意気やすげえ良しなんだけど。

でもこればかりは気合や努力ではいかんともねぇ。


わたしだってどう努力してもジャイアント白田にはなれないんだし。なれてジャイアント馬場止まり。あるいはアンドレ・ザ・ジャイアントが限界。ヤダ、この子どんどん大きくなってるゥ!


やっぱりAは、

「同じ目線じゃなくなっちゃったな」

こう言わざるを得ないのか。

 

少年AとBは、近い将来にこのようなやり取りをする事になるのかもしれない。


でも、確かに二人の間に身長差は生じてしまうのかもしれないけど。

この先も、そんな風に本音を言い合える関係を築けているんだとしたら、君たちはずっと同じ目線でいられるんじゃないかな。

今も、これからもずっと。


わたしにできることはないけど、君たち二人に幸せな結末が訪れることを祈っているよ。

それは神様にしか分からない事だけど、もし神様以外で幸せな結末を知る者がいるとすれば、それは大瀧詠一かな。


そして月曜日の夜9時。街から一切のOLが消えるんだ。


いい時代だったな。あの頃は。