俺があいつを見返す日。

俺があいつを見返す日。

わたしがある人を見返すための意思表明として立ち上げたブログです。日々のこと、夫婦のこと、子育て、商品レビューなど、なんでも。

おせちハラスメント〜キレられるくらいなら、おせちなんていらねえ〜

奥さんの実家で過ごした年末年始。

1月2日の夕食時にテーブルにあったのは、風格漂う立派なズワイガニだった。


2日前の大晦日だ。わたしが2,000円の花咲ガニと死闘を演じたのは。指から血を流しながら、殻を剥くのに悪戦苦闘した。



それはお義父さんもお義母さんも知っているはず。

その2日後に、この立派なズワイガニ


これで合点がいったよ。

花咲ガニと格闘しているわたしを義父母が終始半笑いで見ていたのは、コイツがあったからだ。

さもありなん。こんな立派なズワイガニを隠し持っていたのなら、そりゃ半笑いにもなるだろう。


何だかすごく恥ずかしかった。

那須旅行のお土産を知り合いに渡したら、お返しにとハワイ旅行のお土産を渡された。あの時の気持ちとすごく似ていた。


でも義父母は優しかった。

このズワイガニはわたしのために準備してくれたらしい。この日の夕食が焼き肉だったので、お肉の代わりに大好きなカニをたくさん食べなさいと。


ありがとう。

そしてごめんなさい義父母。


義母「その花咲ガニいくら? 2,000円? あらそう。フフ……」

義父「それ……食べるところあるのかい?」


花咲ガニをそんな風に言われた時は悔しくて。

義母が大事に撮り溜めている韓流ドラマの最終話だけを全部消してやろうかとか。あるいは最終話だけを残して全部消してやろうかとか。

義父の残りわずかな髪の毛を2本だけ残してムシり、磯野海平にしてやろうかとか。髪の毛が1本しかない波平にしなかったのは、わたしのせめてもの温情だぞとか。

クチに出しては言わなかったけど、そんな事を思っていた。


でも違った。義父母は優しかったんだ。

 

「ウッヒョ〜このカニ全部食べちゃってイイんすかァ?」と言ったら「いや他の人の分も残しておいて」とクギを刺された。

あ、そうなの?いや、わたしのためのカニだって言ってくれたからさ。

まぁいいけど。


それじゃ遠慮なくと、カニを食べようとしたところで義父が突然キレた。


「何だよぉ。おせち誰も食べてないじゃない。全然減らないじゃないかよぉ!」


メーデーメーデー。義父ご乱心。

これは再起動が必要。電源ボタンはどこにある。鼻の頭を押してみるか。それはコピーロボット。バードマンに動物にされちゃう。

なら首元を斜め45度でチョップしてみよう。昔の家電ならだいたいこれで何とかなる。でも義父は家電じゃなくてただのオジイだった。

こうなればわたしの必技『全集中尻の呼吸穴の型 指浣腸』をお見舞いするしかない。しかなくない。死す。義父死すぞ。

めんどくせえなこの野郎。未練たらしく残ってる髪の毛の数本でも引っこ抜きゃおとなしくなるかよ。


義父には昔からこういうところがある。頭の中がヴォイニッチ手稿とか3歳児の描くラクガキと同じなんだ。早い話がワケ分からん。


義父の異変に気付いた義母も「お父さんがウルサイから食べちゃってくれる?」

知らなかった。おせちとは義父がうるさいから食べるものだったのか。

 

チョット


チョット待ってよGood-Bye優しい声で卑怯な逃げ方。

動揺して思わずオオグロっちゃったよどうしてくれんの。

改めまして、ちょっと待ってよ。

今。たった今だぞ。カニをたくさん食べていいって言ってくれたのは。


申し訳ないですけどね義父。わたしを含めて誰もおせち食べたいなんて言ってないんですよ。

むしろ毎年「もうおせちは頼まなくていいんじゃないですかね」って提言してるでしょ。

それを「縁起物だから」という理由で、わざわざ数万円もするおせちを銀座三越で注文するのはそちらですよね。


乱心した義父は、わたしの娘たちにターゲットを定めた。


「ホラおせちいっぱい食べてねぇ。たくさんあるからねぇ」


だからやめなさいよ。ウチの娘たちに矛先を向けるのはやめなさい。

食べないんだって子どもたちはおせちなんて。

理由? 美味しくないからに決まってるでしょう。是非はともかくそれが現実なんですよ。

美味しいものだったら黙ってたって食べるんだから子どもたちは。フライドポテトを食べないで我慢している子どもを見たことありますか?

値段ではなく味の問題なんです。


だいたいおせちの他にカニも含め、お肉やお刺身や色んなものがテーブルに乗っているんですよ? この状況で誰がどういう理由でおせちに箸を伸ばすんですか。

合コンで目の前に広瀬アリスちゃんとゴリラが座ってたら、義父あなたはゴリラにアタックかけるんですか? うるさいな。広瀬アリスちゃんがゴリラ顔とか、そういうのはいいんですよ。わたしアリスちゃん好きなんだからやめてください。


え、行くの? 行くんですかゴリラに。

あれ? ひょっとしてスラムダンクなら流川より赤木系? 義父まさかのゴリ専?

いやいいよ。この際いいけどゴリ専でも。ゴリラ優しいしね。

いいんだけど、わたしはゴリ専じゃないから。他の人もたぶんゴリ専じゃないから。


ありがたいですよ。こんな立派なおせちを準備してくれるのは。自分達では決して買えないというか買わないというか、とにかく口にすることはないですからねおせちなんて。

そういう人の気持ちを察することが出来ないほど鈍くはないし悪人でも無いつもりです。

でも食べたくもないものを無理やり提供して食べることを強いるなんて、ある意味注文した物に法外な値段をふっかけるぼったくりバーよりもタチが悪くないですか?

善意の気持ちも押し付けが過ぎれば不快でしかないでしょ。高いレストランに連れて行ってもらっても「せっかく高いお金出したのに!」って言われりゃこっちだって「いや別に頼んでねえし」ってなるでしょ。

わたしそういうのは我慢がならないんですよ!!


なんて事を思ったけど言わない。心根の優しいわたしはクチには出さない。

 

このままではおめでたいはずのお正月が台無しになってしまう。

義父の機嫌を治すために出来ることはただ一つ。義父の見ている前でおせちを全て食べきってしまうことだ。

他の誰も食べないのなら、このわたしが食べよう。それでこの場が円満に収まるのなら、喜んで人身御供となろう。


「ウッヒョ〜このおせち全部食べちゃってイイんすかァ?」って言ったら「いいよ全部食べちゃって」だって。

この野郎。カニの時みたいに他の人の分を残すように言え。言えったら言え。髪の毛1本抜いて波平にするぞ。


仕方ない。せめて美味しい日本酒と一緒におせちを食べよう。奥さん、年末に買った日本酒を出してくれる?


義父「日本酒ならあの一升瓶に少し残ってるよ」


知ってますよそんなの。でもアレは太陽の光をその身に燦々と浴びた開封後2年が経過した元日本酒と言う名前の酢だ。飲みませんよそんな物。


義父「アルコールは腐らないから大丈夫だよ」


うるせえな黙れ波平。

日本酒くらいの低いアルコール度数の酒をこんな劣悪な環境で保管というか放置していたんだから、腐る腐らないじゃなくて飲むに値するまともな味を保っているわけがないじゃないですか。


義父「でも大丈夫だよ。アルコールなんだから」

 

ダメだ。義父が一旦こうなってしまっては、誰の意見も聞かない。自分の考えが正しいと信じて絶対に曲げないんだ。それを下手に曲げようとすると、一緒に義父のヘソも曲がる。

どうして年寄りはこうも頑固なんだ。

 

「ウッヒョ〜この日本酒、全部飲んじゃってイイんすかァ?」

「全部は飲み過ぎだからダメだよ」

んだテメエこの野郎。いい加減にしろやハゲちゃびん。

ハゲちゃびんは言い過ぎた。ごめんね茶瓶。


つーか何なんだよあんた。アルコール王子かよ。何でそこまでその日本酒をオレに飲ませようとすんの?

もしかしてオレの事がキライだったりする?

だからオレの前でウチの長女(13)に「〇〇ちゃん”は”医者とか弁護士の人と結婚して幸せになってねぇ」とか平気で言うの?

ごめんなさいねぇ2,000円の花咲ガニを買ってウッヒョ~とか喜んでる甲斐性無しで。ブログもぜんぜん人気が出ねえし。でもオレなりに一生懸命家族を守っているつもりなんですけどね。

何かだんだんムカムカしてきたぞ。


そこにタイミング悪く、肉を食い過ぎて別室で寝ていたはずの義弟が現れた。


義弟「ウッヒョ~このカニ食べてイイんすかァ?」

義父「どうぞどうぞ」


わたしが腐れた日本酒で無理やりおせちを流し込んでいる間に、義弟がカニをバクバクく食い始めた。

バッカおめえ寝てろよ。さっき散々肉食ってたじゃねえか。お前は肉が食えてカニが食える人だろ? オレは肉が食えなくてカニが食える人なんだよ。譲れ。お前に少しでも人の心があるのなら、カニはオレに譲れ。


こうなってくると、何の罪もないはずのおせちにまで怒りの矛先が向かってしまう。

だいたいおせちってみんな酸っぺえんだよ。何だこいつらは。原材料は酢か?

あと何だこの『ちょろぎ』って。

 

ちょろぎしそ梅


ナメてんのかふざけた形しやがって。何が漢字では長老喜と書いて長寿でおめでたいだ。これは完全に血便だろ。

栗きんとんがジャニーズ枠なら、お前なんかひな壇の芸人枠なんだからな。

 

キレられて無理やり食わされるくらいならおせちなんていらねえんだよ。

これは間違いなくハラスメントだ。おせちハラスメント。

来年は一口だって食ってやらねえからな。

バーカバーカ。